熱力学と対応させたいと最初に思ったきっかけはGDPのことだった。
GDP(Gross Domestic Product、日本語では国内総生産)というのを耳にした。
この言葉には「一定期間に国内で生産された付加価値の合計」という定義がある。統計に使われているが、過不足なく表現する物理量と違い、いろいろ制限事項があった。
生産によって生まれた付加価値を商売の用語で表現すると
付加価値=売上げ金額ー 仕入れ金額(原材料費・燃料費・減価償却費など)
と説明されていた。
ここのところで、熱力学の理解が現象の理解に役に立ちそうだと感じた。
熱力学と少し対応させてみる。
売価(物を外に放出して流入したエネルギーの金額表示)にプラスの符号をつけ、費用(物を外部から流入させ、流出したエネルギーの金額表示)にマイナスの符号をつける。
これらを総合して混ぜたエネルギーの金額表現が付加価値という言葉になっている。
このエネルギーの金額表示は、大抵の小売りの場合、プラスだが、事情によりマイナスの金額になる(収支が赤字の販売)。混ぜた金額のマイナス価値は付加価値という語感から外れる。物やサービスの輸入が増えると、外部に支払う分だけ、エネルギーを流出させる。GDPの集計ではマイナス符号になることを意味する。社会ではGDPが成長しないことが、問題になっている。これは何かなと思ったことが、この社会現象と熱力学を重ねるきっかけになった。
GDPは国内の付加価値の総和だから、定性的に最初に思ったことがあった。
コラムColumn
熱力学に重なる社会現象(2)
Vol.01-06
2024年02月13日
この記事の内容
きっかけになった社会現象の一つのGDP
- 生産して放出する側の人口が多ければ自然にGDPの数字は大きくなると思った。
- GDPは、国の経済の規模を測るときにも使われる。景気が良い、経済状態が良いと大きくなると理解していた。よく景気は気だという。GDPは国の元気を表しているのか、とまず思った。
日本のGDPは30年間にわたり、成長していない。
その間に他の国のGDPは成長して、日本のGDP順位は下がり続けている。かつて、2位だったGDPは中国に追い越され3位だったが、23年に人口の少ないドイツにさらに追い抜かれ、4位になった。一人当たりでは韓国にも追い抜かれた。
GDPが大きいから人は幸福かというと、それは違う。
GDPは幸福度を測る指標ではない。定義とは別に、GDPは人の活力の総和だと直感していた。
その直感を何かで説明できないかと思い、思考を行ったり来たりさせていた。GDPというのは形や数で表現されているものなので、それに対応した原点になる真実というものがあると思っている。
表現というものに対応した真実があるというのは私が高校時代に思いついた考えで、これで現象を整理してみた。
真実に相当するものがあると信じて、整理すると、真実が生まれるエネルギーはどこにあるのかという疑問がでてきた。
疑問の答えを探すのに熱力学というものを思考の道具に使うことを思いついた。
熱力学の詳細は難しいものだが、原理は利用できそうだと直感した。活力の指標であるGDPの成長と、熱エネルギーの移動で得られる利用可能な放出エネルギーの仕組みは似ている。
そこで、熱力学の観点で活力を眺めてみると、GDPのこと、経済のこと、社会現象のことを理解できると直感した。
[ Author : Y. F. ]